●出会い
ある冬の日の、会社の昼休みのことだった。
たまに行く牛丼チェーンで流れていた有線放送。
小気味良いイントロとともに始まった楽曲。
それはあまりにもアイドルソングの基本に忠実過ぎて感心するほどだったが、曲が進めば進むほど「この曲は凄く良いかも」と思うようになっていた。
ものの数分間の出来事である。
それはまさに神曲の領域だったに違いない。
しかし、それは有線放送。
自分が引いている放送なら電話で問い合わせる手もあっただろうが、手掛かりは歌詞しかなかった。
覚えていた「粉雪」「空」と「アイドルソング」「クリスマスソング」あたりで検索。
「アイドリング!!!」に似たような曲があったものの、どう見てもアイドリングではなさそう。
もう少し調べて出てきたのが『バニラな空』だった。
“つりビット”・・・知らないアイドルだった。
しかし、今思えばこの曲をあそこで聞かなければ、彼女たちに接する可能性はほぼゼロだっただろう。
有線放送にリクエストをしたつりビットヲタor運営の関係者はグッジョブだったと今でも思う。
●昔のこと
私自身はかつては48Gのヲタをしていた。
しかし、とある事情により現場に行くことができなくなってしまった。
(決して現場でトラブルを起こして出禁になったとかではない)
それ以来現場にも行っていないし、エンタメニュースで時々見るくらいの一般人になっていた。
もう現場に戻ることはないと思っていたが、唯一、このつりビットだけは、この時、いつか釣り上げられて、その世界に足を踏み入れることがあるかも知れないという予感だけはしていた。
●その後のこと
それからは『バニラな空』だけは気が向くとヘビーローテーションしていた。
それはかつて某大手でもインディーズの神曲を現場に出る前に同じくヘビーローテーションしていた頃にとても状況が似ていたように思う。
●楽曲について
“つりビット”は総じて楽曲の作りが良い。
好みの問題ではあるのかも知れないが、それでもアイドルソングの基本も押さえているし、タイトルなんかを見ても「あの曲を意識しているな」とか、コード進行なんかも上手いし、アイドルソングでない違う有名曲を意識したようなフレーズが聞けることもある。
いろいろな意味で、分かっている人がプロデュースしているなということがわかる、ある意味で玄人向けなプロジェクトでもあるように思う。
●メンバーについて
当時のメンバーを見た感想は、「若い(むしろ幼い)」「似ている子が某大手にもいる」「特定な推しを作るような個性的なメンバーがいない」という感じだった。
あえて言えばセンターの聞間彩は可愛いなと思ったし、その後は安藤咲桜にも興味が行ったりもした。
個人的にはセンターの子が良いと思ったことがあまりないので、自分としては珍しいパターンではあった。
とは言え、ユニット推しというスタンスで彼女たちを見る程度で、あとはひたすら曲を聴くだけであった。
●今のローテーション
聴く楽曲はそれなりに増え、今時点でのヘビーローテーションは下記の8曲となっている。
『スタートダッシュ!』
『はじめのキモチ』
『FISH ISLAND』
『真夏の天体観測』
『バニラな空』
『踊ろよ、フィッシュ』
『告白スイッチ』
『ラムネ色のスケッチ』
基本的にはアップテンポな曲が好きである。
確かに全体的に若いので、強烈に酸味のある料理を食べ続けている感じで、たまに食べ疲れて違う味のものを食べたくなることはあるが、それでも何度聴いても飽きないのが彼女たちの楽曲である。
●輝きと成長
プロジェクトとして見た時、メンバーが変わらないという安定感は、卒業制度があるプロジェクトと違ってとても良い。
また、デビュー時に3人のメンバーが中学1年生(かつほぼ平均年齢)だったというその若さは、成長を見守ることに喜びを感じるファンには良い年齢構成である。
中学生になりたて、あるいは小西杏優のように小学生である場合、その時点では垢抜けないと思っても、成長過程の中で垢抜けてくると、ビックリするような輝きを見せることがある。
特にこれは私の持論だが、中学3年生(15歳)というのはその輝きがピークになるケースがかなりある。
それは私の経験上、48Gでも同様の事象をいくつも見ている。
その意味で、私の当初の感じた「特定な推しを作るような個性的なメンバーがいない」という部分は、今では「注目したいメンバーがいるし、全体として見ても輝きが出てきている」という評価に明らかに変化をしている。
そう、このプロジェクトは成長を見守るのにうってつけのメンバーが選ばれてスタートした、まさに理想的なプロジェクトなのである。
●メンバー評(Wikipedia掲載順)
・水色 長谷川 瑞 はせがわ みずき 1998年2月13日(17歳) みーちゃん マダイ リーダー
声に特徴のある彼女は、最初のうちは好みが分かれるタイプかも知れない。
実際、MVなどでは順番が最後になってしまっているケースが多いように感じる。
ただ、いろいろな動画などを見ていると、彼女のリーダーらしさはやはり最年長として信頼のできるものになっているだろう。
グループである以上、彼女の存在は必要不可欠だろうと感じる。
・イエロー 竹内 夏紀 たけうち なつき 2000年8月25日(14歳) なっちゃん カツオ サブリーダー&ファッションリーダー
個人評としては、平均点なイメージはある。
いろいろ平均的なので印象が薄いという感じもしなくもない。
・レッド 聞間 彩 ききま あや 2000年11月19日(14歳) ちゃんあや マグロ (センター)美容リーダー
センターとしての可愛さはきちんと兼ね備えてはいるが、いわゆるカリスマ性やオーラと言ったものはあまり感じない。
ダンスの上手さでセンターになったのとは違うので、パフォーマンスを見ていると控えめな感じに見えてしまう。
ただ、それはセンターゆえの評価であり、彼女が3番手、4番手にいるととても推したくなるような、そんなバランスの中にいるように感じている。
・ピンク 安藤 咲桜 あんどう さくら 2001年3月23日(14歳) さくちん カジキマグロ MC&ボーカル隊長
見た目的には彼女がいちばん大人に見える気がする。
初めて『バニラな空』のMVを見た時は、某ジャカルタに行って大活躍している大手グループのメンバーに似ていると思った。
今はあまりその印象はない。
釣りセンターになった彼女のMVを見た時は、ある意味聞間彩のセンターよりも安定感があったように見えた。
・グリーン 小西 杏優 こにし あゆ 2001年4月30日(14歳) あゆたん アユ ダンスリーダー
初めて『バニラな空』のMVを見た時は、某大手の新体操が得意な釣り師アイドルに似ていると思った。
ある番組で女性MCが言っていた「最後は小西杏優に落ち着く」というのが最近になってよくわかる。
個人的にはダンスが上手なメンバーは目が惹かれるので、そうなったのかも知れないが、彼女はダンスが非常に切れていて清々しい。
さらに最近の垢抜け感があいまって、個人的にはかなり評価が上がって来ている。
●これからのつりビット
「釣り」というコンセプトに合わせて作られたアイドル“つりビット”。
人気は着実に上がって来ていて、地下ではなく地上に出てきている。
今年は受験という試練はあるものの、きちんとした成長も見られている。
プロジェクトもプロデューサーの実力や戦略が功を奏して、(大変なことはもちろんあるだろうけれど)安定して推進されているように見受けられる。
彼女たちが本当に世界を釣り上げられるのか、今がピークなのか。
それは現時点では誰にもわからないが、メンバーの3人が「輝きの15歳」の世代を迎えた今がやはり正念場なのだと思う。
今後、私自身が現場に赴くことや、直接接することは恐らくない気はするが、遠くからでも彼女たちの成長を最後まで見守りたいと今は思っている。
※タイトルはチェキッ娘の『最初のキモチ』とつりビットの『はじめのキモチ』をかけたもの、というかつりビットの曲の方がそれを俄然意識したタイトルづけのようにも思うけれど。